理想的な営業と組織を考える

私は2020年に法人を設立してから、最大8名程度の従業員を雇用する形まで組織を拡大したけど、自分自身の営業力が足りなくて、最終的には、現在の3名+αの体制に落ち着いた。

組織拡大を実現するための安定収益を得るための方向性を考えてみる。

  • 継続的な依頼を受託できる優良クライアントとの強固な信頼関係
  • 保守や製品など、長期契約による安定収益の積み上げ
  • 新規顧客獲得を容易にする集客力と提案力

安定収益を得るための方向性

継続的依頼が期待できる優良顧客との強固な信頼関係

いわゆる太客との関係性が必要だ。太客のバリエーションとしては以下の2パターンが考えられる。

  • 大手・中堅企業
  • SaaS運営企業

私が一番最初に勤めた会社では10名弱の従業員を雇用していたけど、その売上構成の大部分を占める売上はとあるSaaSの運用・保守だった。そのSaaSは公費(補助金)をベースにしていたため、毎月数百万円の売上を継続的に得ることに繋がっていたようだ。それだけで数千万円の売上を確保できていたとその会社の社長からは話を伺った。

要するに、優良顧客との関係性を強固に築き、継続的な売上を確保できないと、継続的に大きな売上を得ることは難しいかもしれないので、どんな会社にとっても、1社以上、将来を共にすると誓うくらいの関係性を築ける中堅以上の企業との関係性は必要不可欠かもしれない。

保守や製品など、長期契約による安定収益の積み上げ

これはホームぺージの保守費なんかが最たる例だ。1社制作を終える毎に保守契約を積み上げていくことで、毎年の売上を着実に積み上げていく方法だ。この積み上げ方式で有効なのは、1社の大手の保守を請け負う信頼関係構築太客方式もそうだし、小さな保守を無数に積み上げていく方式もあるけど、実際に信頼関係はそんなに簡単に積み上げてはいけないので、小さな保守を積み上げていく方法は非常に地道な運営努力が必要になる。

地方制作会社などが、一部の太客の大規模保守を請け負いつつも、小規模保守を積み上げていくこの戦略を採っているので、太客と良い関係性を築きながらも補助的な位置づけでこの戦略を走らせるのが有効打になりそうだ。

新規顧客獲得を容易にする集客力と提案力

自社の状況

まずは、交流会コミュニティへの所属、ビジネスマッチング媒体への掲載などを駆使して、集客力を担保する必要がある。その上で、提案力のある資料作成や魅力的な提案、商談進行など、提案力の部分が重要だ。

現在自社は、他に依存する企業が1社もない(太客が1社もない)上で、保守契約もほとんど蓄積されていない。創業してから6年間が経過したけど、下請けの仕事ばかりに対応をして、エンドクライアントとの仕事をあまりしてこなかったので、現在蓄積されている保守金額は年間で50万円程度が良いところだ。いずれも小規模企業向けのホームぺージに対する保守である。

集客力と提案力を得る方法

集客力は、正直所属するコミュニティと参加するビジネスマッチングなどのツールによって大部分が決まってしまう。それ以外の裁量や動き方によって変化する部分はそんなに大きくないので、コミュニティとツールの選択によって、成果の落としどころがある程度想像できると思う。

商談の進行に関しては、技術力のあるメンバーが提案の中身を考え、見積を作ることが必要だし、それを顧客に伝えるに当たってのグラフィック的な要素も重要である。そのため、提案資料の骨子はコンサルタントである代表やベテランメンバーが作るべきだけど、提案資料自体はデザイナーに依頼して作ってもらうのが良いと思う。

1つ1つの商談を大切に進行するためには、1案件1案件に込める熱量が重要なので、手を抜かずに最高の提案を心がける必要がある。最高の提案には、内容も重要だが見た目も重要だということだ。

デザイン会社ならデザイン制作をパッケージ化するのは簡単なことで、サービスを定式化した資料を作れば良いけど、システム会社の場合はパッケージ化は製品を作ることに等しいので、製品を持つことが必要になり、製品を作らない限りパッケージとして売り出すことが難しい。

組織拡大の前提条件

上記がシステム会社としての私が考える安定収益を得るための方法だ。

その上で、自分自身が技術者や技術者の延長線上としてのコンサルタントとして存在し続けるための組織作りを考えてみたい。というのは、2020年から法人化して、組織を拡大してきた結果として、技術から遠ざかってしまったということもあるし、営業実務に忙殺されて、実際に製品を作る余力がなくなってしまったという経験をした。組織を維持するために営業することが仕事となり、大幅な飛躍ができなくなっていたと思う。

つまり、大幅な年間収益を期待できる太客や、安定的な収益が期待できる製品や長期保守契約の積み上げを持たない状況で組織を拡大することはできない。組織を拡大するために、何かしらの準備が必要であり、その準備に適用した組織体制を整っていなければ拡大はできない。

自社の組織拡大戦略

理想とする自社の体制

まぁ、正直組織を拡大することに魅力は何もないんだけど、私をゼロから育ててくれた社長がいたように、私も次の世代を育成したいという想いがないこともないので、それができうる組織について考えていた。その結果思いついたのが次の組織体制だ。

  • 外勤エンジニア(1名以上、常駐等準委任でSES・コンサルティング担当)
  • 内勤エンジニア(1名、受託開発・製品開発・運用保守・営業・秘書・事務など幅広く担当、テレワーク可)
  • 内勤デザイナー(1名、受託開発・製品開発・営業補佐、テレワーク可)

技術組織として全員がエンジニアやデザイナーの会社を創ると考えた場合に、営業量を担保できない前提とすることが大事だ。エンジニアは優れた提案が苦手だし、エンジニアの本文は商談じゃない。エンジニアは作り手として、システム開発を本分とすべきだよね。

結局はSESの会社と同じに見えるかもしれないけれど、実態はパッケージ開発・販売の会社であって、内勤エンジニアが精力的に自社製品の開発と営業を行っていく想定のチームとなっている。私自身のポジションは、外勤エンジニアで、自分1馬力でシステムコンサルティング領域の常駐案件で会社全体として十分な売上を稼ぎつつも、いただける受託案件を内勤エンジニアをベースに、ベテランの外勤エンジニアがサポートしながら推進をしていく体制だ。

チームを支えつつ、製品を作りつつ、若手を育てる

外勤エンジニアは自分を始めとするベテランにしか務まらないので、このポジションを拡大できれば会社の利益は確実に増えるが、採用難易度は高く、基本的には採用活動も推進はしない。私自身1名を基本として、私を慕って一緒にやってくれる経験者がハマるポジションとなる想定だ。

この体制でキーになるのは、内勤エンジニアのポジションだ。内勤エンジニアが優れた製品を作り、販売できなければ、一切楽にはなっていかない。その為、外勤エンジニアとして最低限の1人月の稼働をこなしつつも、内勤エンジニアをサポートしつつ、優れた製品を作り上げる必要がある。その上で、それら製品を販売するためのアクションも内勤エンジニアとして推進しなければならないため、幅広い領域の活躍が必須になる。

だけど、基本的には新人育成に向いたポジションなので、若手を1名入れることで、若手を育てることができると思う。私は製品を作ることを通して若手の育成に繋げられるこの体制を次の目標として動いていきたいと考えている。

実現に向けて

私は既に、実現に向けて、一歩ずつ動き出している。

内勤エンジニアのポジションは、現状で松井さんで、外勤エンジニアのポジションは私だ。デザイナーのポジションは熊本さんだ。今までと何も変わらないように見えて、着実に方向性は定めた。今、自社は製品開発に意識が向いているし、製品開発とその販売によって、未来を変えようと着実に一歩ずつ踏みしめていく予定だ。

私自身は、外勤エンジニア、つまりコンサルタントとしてのスキルアップを図りたいという想いもあるし、実際に客先のプロジェクトに入りこんで人間関係を育みながら成長できる感覚に満足している。どうやって、自分の単価を上げて行こうかと考えるのが楽しくもある。だけど、それだけでは楽しくないよね。もっと経済的に満たされる状況を作らなければならないと考えている。

そのために、松井さんのポジションがあると考えている。松井さんは一般主婦とし在宅で母親としての仕事もこなしながらではあるけど、男勝りな性格なので、非常によく働いてくれて感謝している。私たちはそんな体制と方向性で今後の未来を掴むべく、挑戦していくつもりだ。

最後になるけど、私と同じ外勤エンジニアのポジションでコンサルタントとして案件参画しつつも、その1人月以外の時間を有効活用して一緒に経済面を満たすためのプロダクトを作っていこうと協力できる方がもしいれば連絡がほしい。単なるSESとは違って、プロダクトによる継続的利益を得るための共同体としてSESだと思ってもらえれば認識の齟齬はないと思う。どうか、よろしくお願いいたします。