事業の経済性を高める方法

今日はシステム開発事業の経済性を高める方法について考えていた。経済性を高めるとは、平たく言えば、どうやれば儲かるのかということである。儲けると言っても、様々な方法があるのかもしれないけれど、経済性を取り巻く概念を整理して基本的な手法について整理をした。

報酬・金銭を得るための方程式

現代における資本主義社会において、金銭を得るためには労働との交換が一般的である。その労働との交換家庭を数式で表してみた。

報酬・金銭=提供価値=労働価値(=労働難易度×需給バランス)×労働時間

まず、報酬・金銭は労働時間との交換で支払われるケースが多いが、労働の価値(単価)は労働の難易度や需給バランスなどの影響を受ける。そして、それら労働の結果として生み出される提供価値に釣り合う形で最終的に金銭に交換されるのが一般的だと思う。

多くの金銭・報酬が得るために必要なこと

上記をベースに得られる金銭を増やすためにどうすればよいかを整理すると以下のようになる。

  • 労働と交換できる提供価値を増やす。
  • 労働価値や労働時間を増やす。
  • 労働難易度の高い仕事をする。
  • 需要が多く、供給が少ない仕事をする。

上記から以下のことが言える。

仕事内容により得られる報酬・金銭の大部分が決まってしまう

  • 労働時間を増やす量には限界があり、究極には労働時間は増やせない。
  • 仕事内容は提供価値、難易度と紐づき、難易度は需給バランスと紐づく。

つまり、労働時間を増やせない状況では、仕事内容によって稼げる金銭の量の大部分が決まってしまうということが言えると思う。その上で、労働時間以外に得られる金銭を増やすためにはどうすればよいかを検討してみる。なお、その際、労働時間を増やすための施策として、人数を増やすという手法については、時代に逆行する施策となるため除外する。現実的に雇用人数を増やしたとしても、幸せに働ける人の量は増えないはずだからだ。

高収益を狙える仕事の条件

得られる金銭を増やすための施策としては以下のものが考えられる。

  • 労働時間は増やせない。
  • ITシステムを構築して効率化を図り、生産性を高めることにより労働時間を短縮する。
  • 経験値の蓄積(労働時間経過による習熟度の向上)により生産性を高めることにより労働時間を短縮する。
  • 仕事の単価を高め、仕事辺りの収益性を高める。
  • 仕事を完了数を増やす。

上記を実現するための仕事の条件を考えてみる。

  • 業務を定型化できるITシステム化との親和性が高い業務であること。
  • 業務内容が陳腐化しにくく、変化しにくい上で、収益性が持続すること。
  • 業務が楽しいこと。または苦しくないこと。
  • 大きな価値を提供でき高い収益性を持っていること。その上で、需要が多く、難易度が高く競合が少ないこと。
  • 集客が容易で、その仕事を依頼したい顧客と容易に繋がることができる仕事であること。
  • 集客のマッチング精度が高く、受注確度が高く、高報酬依頼が多いこと。
  • 仕事内容をシンプル化・定型化でき、多くの仕事量をさばけること。

条件は上記に列挙した通りだし、その前提を守った仕事探しから始めると良いと思う。仕事探しという表現はしたものの、事業開発や製品開発にも当てはまることなので、意識していきたいと思う。

経済性向上のために必要な4つの視点

上記を実際の自社のシステム開発事業に当てはめて、より具体性を高めていくと以下のような要点として整理ができる。

  • 労働時間を減らすためにITシステム化と経験値蓄積・業務習熟による生産性向上・効率化が必要。
  • 時間当たりの単価向上・生産性向上を図るため、現在よりも提供価値を増やすための研究開発が必要。
  • 顧客と出会うためのコミュニティや集客ツールが必要。
  • 顧客とのマッチング精度を高めるための自社の情報発信が必要。

自社の場合、上記を更に具体的なものに落とすと以下の組み合わせになる。

  • GoogleWorkspace、Asana などのコミュニケーション・コラボレーションツール、生産性向上ツールの活用
  • 受注する仕事をシステム開発業務に絞ることにより、特定領域の継続経験による業務習熟・経験値蓄積
  • 顧客と出会うためのビジネスマッチングの活用(比較ビズ、発注ナビ、システム幹事、その他)
  • ビジネスマッチング媒体、自社ホームページ、代表ブログへの情報掲載による情報発信

自社は優れた会社ではないけれど、上記の4点に関して最低限の要点を押さえた運営はできている想定だ。なので、何とか事業を維持することが叶っていると言えるし、今後、どういう方向で改善をしていけば、より報酬・金銭獲得が増える方向に力をかけることができるかは整理ができている想定だ。

経済性向上のために必要な4つの視点との向き合い方

上記の4つの視点は箇条書きに列挙するだけではまだ理解できたとは言えない。実際に人間として行動レベルに落とせるように整理して理解する必要がある。そのためには、人間の思考と行動として理解する必要がある。私の中での整理は以下の通り。

優先順位が高く、土台として事前準備が完了している必要があるもの

  • 労働時間を短縮するためのITシステムや経験に裏付けされた効率的な業務
  • 出会いの場(場の違いによるお客様層と出会いの総量)の選択

まずは、効率的に業務が行える状態になっている必要がある。効率的に業務を終わらせて、迅速にお客様を満足させることができなければ、報酬額の総量を増やしていくことはできない。また、お客様そのものとの出会いの方法を決めて、出会うべきお客様層や出会いの総量を選択していく必要がある。上記2点が定まり、安定しない状況では、報酬や金銭を得られる量を増やしていくことはできない。

副次的に最低限こなすべき運用

  • マッチング精度を高めるための情報発信

情報発信は力を入れるべきところではない。力を抜くべきところだ。情報発信にどれだけ力を入れたとしても、サービス提供の土台の部分が揺らいでしまっていては、成果は出ない。土台がしっかりしている環境が整っている前提で、最低限対応ができて継続できれば、それなりの成果に繋がるのが情報発信というものだと思う。

極論をすれば、運用を定型化できれば、外部リソースに投げても良い領域だと思う。いかに負荷をかけずに、思考を持っていかれずに、時間をかけずに、最低限こなしていくかを実現することが大切だと思う。

土台の上で意識を集中させるべきもの

その上で、最も意識を集中させて、エネルギーを注いでいくべき領域がある。

  • 提供価値向上のための研究開発

特にシステム開発事業においては、製品を持っているか持っていないかで日々のオペレーションの優先順位が変わる。製品を持っている会社とそうでない会社の業務運用の優先順位の例を以下に示す。

製品を持つ会社の業務優先順位

  • 生産:サービス提供(優先度:高)
  • 研究開発:製品開発(優先度:高)
  • 広報:情報発信(優先度:中)
  • 営業:出会いの創出と商談(優先度:中)
  • その他事務(優先度:低)

製品を持たない会社の業務優先順位

  • 営業:出会いの創出と商談(優先度:高)
  • 生産:サービス提供(優先度:高)
  • 研究開発:製品開発(優先度:中)
  • 広報:情報発信(優先度:低)
  • その他事務(優先度:低)

製品を持つことで集客・営業の優先順位が相対的に下がる

つまり、製品を持っている会社は製品をトリガーにして、集客を展開できるため、集客力が高まる。その結果、集客活動に割かなければならない時間が大幅に減る。なおかつ、製品があるため、高い生産性でサービス提供ができるようになり、収益性の向上が期待できる。集客面・収益性の2面が製品を持たない状態よりも向上するため、時間的な余裕が生まれる。その時間を更なる価値を生み出すための新製品開発に向けることで、更に生産性を高めていくことができる。

だから、土台が出来上がっている組織にとって、最も重要な取り組みは、製品開発などの研究開発活動に当たる。この部分を改善しない限り、営業負荷が下がらないため、自転車操業からは抜け出せない。

製品を持たないシステム会社が製品開発に取り組むために

クライアントワークを行っている生産ラインに属するメンバーが自社製品の開発に時間を割く場合、生産ラインから生産リソースが大幅に失われるため、生産総量が減ることに伴って、売上が劇的に低下する。そのため、この大幅な売上低下を負担できない限り自社製品は開発できない。

そこで考えるべきは、自社のメンバー以外の外部リソースに頼った自社製品の開発である。研究開発専属の外部リソースを確保することで、自社の売上を維持したまま製品開発に取り組むことができる。受注総量も普段から調整する必要がないので、圧倒的にオススメの手法は外部リソースの確保による製品開発である。

また、外部リソース以外の手法としては、代表など役員自らの時間外の時間を使っての開発なども方法としては候補となる。代表や役員は会社のために身を粉にして働くものだ。普段の売上を守るために、最低限の稼働は確保が必要だけど、それ以外の時間を製品開発に充てることで、自社製品を作るための時間を無償で割くことができる。

なので、外部リソースを報酬と交換で雇いつつ、時間外を使って代表や役員が手を動かして製品を作るのが正攻法だと考えらえるし、これ以外の方法の場合は、巷のスタートアップ企業のように投資を仰いで資金注入した上で、資金が尽きるまでの間で開発を終えるなど、博打的な動きが求められる。この方法はリスクが高いためあまりお勧めができない。地に足ついて地道に着実に一歩ずつ開発を進められる前者がオススメだし、私もその方法で今回製品開発に取り組む予定だ。

製品開発により環境を一変させるべく、想いを馳せる

私自身、4年間チームのマネジメントに時間を投資してきた結果、前向きに何かを実現することができなかったのは、力のかけ方が間違っていたからだ。私自身がチームに仕事を投げることで手一杯になり、営業に忙殺されていたがために、製品開発に着手ができなかった。生産力を落とすと売上が足りなくなるので、メンバーに製品開発を依頼することもできなかった。正直、万事休すで手詰まりだった。

今回チームを解散させる方向での検討から始まり、営業負荷をコアメンバーに引き継ぐ形で、自分自身が製品開発に時間を割ける状態を作ったこともあるし、追加で外部メンバーの雇用に繋がるに至った思考は上記に整理した通りだ。

私はこれから、製品開発に取り組み、半年後に結果を出せるように努力しようと思う。自社の営業状況を良くするための検討も上記の通り整理したところで、製品開発の重要性を論理的に説明してみた。昨日整理した安定収益を得るための方法とは少し違った方向のアプローチではあるけれど、自転車操業を脱出するための大きな一歩だと思って、これから地道に詰み上げる気持ちで胸がいっぱいだ。頑張っていこうじゃないか。

先日投稿した安定収益を上げるための検討は以下の投稿にあるので、よかったらこちらも読んでみてくださいね。