耳から学ぶ実践術
童謡・九九・ABCの歌——子どもの学びが教えてくれること
思い出してみてください。アルファベットの順番を、あなたはどうやって覚えましたか。多くの人の答えは同じです——歌で。では、なぜ大人になった私たちは、あの方法を使うのをやめてしまったのでしょう。
歌は、文字より古い記憶装置
文字が普及するはるか前から、人類は長大な物語や掟を口伝えで伝えてきました。叙事詩には韻律があり、祝詞や経典には節がつき、労働には作業歌が伴いました。リズムと旋律は、長い内容を繰り返し再現するための手がかりとして利用されてきたのです。
子どもの教育に歌がよく使われるのも、文字を読む前から参加しやすく、順序やまとまりを示せるためでしょう。ただし、歌がいつでも最良とは限りません。内容や学習者に合わせて、絵・会話・実物などと組み合わせることが大切です。
九九の歌・ABCソングが機能する理由
ABCソングでは、文字列が短いフレーズに分かれ、なじみのある旋律に載っています。一方、九九は必ずしも歌ではなく、一定の拍に合わせた音読や反復で覚えることも多いものです。どちらも音のまとまりを使いますが、同じ設計だと考える必要はありません。
アルファベットの順番を問われると、頭の中で歌をたどる人もいます。旋律が文字列を思い出す手がかりになっている例です。ただし、すべての人が同じ方法で思い出すわけではなく、歌だけで文字の使い方まで理解できるわけでもありません。
大人は、いつ歌うのをやめたのか
学ぶ内容が専門的になるにつれ、授業で歌を使う場面は少なくなります。既製の学習歌が少ないことに加え、理解・計算・判断など、歌だけでは扱いにくい課題が増えるためです。大人が歌わなくなる理由は、一つに決められません。
それでも、順序のある短い一覧や用語には、替え歌やリズム読みを試す余地があります。「歌えば必ず忘れない」とは言えませんが、思い出す手がかりが増える人はいます。使ったあとに、意味を説明したり問題を解いたりして確かめましょう。